GYAN GYAN GYANと鳴り続ける「シンガロン・シンガソン」
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2017年11月8日に発売される「シンガロン・シンガソン」。カップリング曲も魅力的だが、今現在ではまだ音源として聴くことが出来ないので、「シンガロン・シンガソン」1曲に着目してレビューのようなものを書いていこうと思う。
まず、先に述べておこう。
最初自分は、「え、楽曲提供者はMrs. GREEN APPLEなの?あんまり期待出来なさそうだなぁ…」と愚痴を溢していた。
事実、柏木ひなたがメインパーソナリティを務めるラジオ番組「エビ中☆なんやねん」で、2017年10月10日に「シンガロン・シンガソン」の1番が宇宙初オンエアされた際にも、「キラキラしたポップな曲をエビ中が歌ってるなー、凡だなぁ。」と思った。
「シンガロン・シンガソン」の本来の良さについては後述するが、1番だけでは本来の良さの半分の力も出せていないのだ。
言い訳になるけれど、本来の良さが半分も出せてなかったらそりゃなんとも思わないよね。
それに純白の衣装を纏い、横一列に並んだ宣材も「平凡だ。」と思わせた原因の1つだと思う。
いや、宣材の写真は清楚でとても素敵なんですけど、"普通のアイドル"って感じが強過ぎる。
まあ、この後MVだったり、ライヴで聴いて大どんでん返しが起こるんですけどね…。笑
だから、タイムマシンがあるなら過去の自分に、「ソレだけでわかった気になるなよ。」と光を追い越し言いに行きたい。
色彩豊かなMrs. GREEN APPLEの魅力
楽曲というのは当然のことであるが、楽曲提供者の感性が反映されることが一般的である。
実際、楽曲提供者は大森元貴という1996年9月14日生まれの21歳、歳を重ねれば色んなタイプの表現出来るかもしれないが、やはりどうしてもMrs. GREEN APPLEの匂いが残ってしまう。
言葉で説明するよりも、実際にMrs. GREEN APPLEを体感して頂こう。
何と言ってもオシャレ。
いかんいかん、もっと本質的な所を見なきゃ。
『コーラスがオノマトペに軽快なリズム、メロディを乗せていてとてもキャッチ』
『同じAメロでも裏で鳴る音が1番と2番で大幅に異なるため2度美味しいメロディ』
『シンセサイザを使用しているがバンドサウンドが軸となるのでポップだがノリやすい』
ざっと聴いた所、この3点が大まかなMrs. GREEN APPLEの特徴だろうか。
Mrs. GREEN APPLEを沢山聴き込んだわけでは無いので、ファンの方は「全然ちげぇよ。」と叩きたくなるかもしれないが、ご容赦願いたい。
さて、ここでやっと「シンガロン・シンガソン」の話に戻るが、こうしたMrs. GREEN APPLEの特徴が「シンガロン・シンガソン」にも活きている。
そのため、1番しか公開されなかったオンエア中では、2度美味しいメロディを味わうどころか、他2つも満足に味わうことが出来なかったのだ。
この時、何も分かっていない自分は「大森元貴もまだまだ若造だな。」と何故か達観していた。この完成度の曲がかける時点でキミより数億倍も才能があるぞ。しかもほとんど同い年だぞ!しっかりしてくれ。たんとくん。
ぁぃぁぃワールドを詰め込んだ珠玉のMV
そんなこんなで、何も知らない自分はB面に期待しようと儚い想いを寄せていたらあっという間に日は過ぎ、MVの公開の日へ。
しかしMVの公開で、様々な衝撃を与えられた。
まずこの曲は、2018年1月3日のライヴを最後にエビ中から転校してしまうぁぃぁぃのために作られた最後のシングルということを、言わずとも前面に出しているということだ。
動画を開く前から分かる通り、ぁぃぁぃのメンバーカラーである黄緑の髪色、そしてぁぃぁぃの個性とも言える奇抜なファッションをメンバー各々がしていたり、ぁぃぁぃがファンクラブに入るほど好きなMrs. GREEN APPLEからの楽曲提供など、ぁぃぁぃのために作られたような背景が伺える。
転校するというのは分かっていたが、否が応でも「やっぱりぁぃぁぃは転校しちゃうんだな。」と実感させられるような仕掛けが多く施されている印象が強い。
また、転校や脱退と聞くと重く切ない気持ちになりがちだが、この曲はぁぃぁぃの新たな挑戦を全身全霊で応援し、笑顔で送り出す応援歌となっている。
この曲はぁぃぁぃにも向けているが、挑戦し続ける者への応援歌になっているので「ぁぃぁぃのためだけの応援歌じゃねぇぞ!」と思う方はいらっしゃると思います。それでも「転校まではぁぃぁぃのための曲だ!」と言わせて下さい。お願いします。
大事にしてたいな。忘れずにいたいな。これからもずっと、どこに居ようと。何をしようと。
話を戻そう。ぁぃぁぃの曲だと思う理由が歌詞にも多く含まれている。
◯◯TIONと小気味良いリズムで歌う歌詞があるのだが、どの歌詞もぁぃぁぃのことを歌っているように感じるような文字選びが成されている。
〈NONFICTION ACTION 人生はSENSATION〉
「考えるよりも先に動き出そう!人生は感覚なのだ!」
〈FASHION ACTION コピーはISOLATION〉
「素敵なファッションをしよう!パクリはダメだよ!」
〈NONFICTION ACTION 人生は今日COLLECTION〉
「実際に行動を起こせ!人生は今日の積み重ねなのだ!」
とすべて勝手な意訳的だが、独創的なぁぃぁぃのことを言っているように感じる。
また、転校を発表したLINE LIVEでぁぃぁぃはこう述べている。
一応動画も貼っておきます。ぁぃぁぃは湿っぽく転校したくないと思いますが、湿っぽくなってしまう方もいらっしゃると思うので、そういう方は上のDr.D.D.さんのブログだけ参照することを推奨します。
18歳になって、10代のうちにやっておきたいこと、自分の中で足りないことがいっぱいあることに気づき、自分の人生をすごく考えた中で、自分らしく生きる、というのはなにか、と考えて、決断した。
そういった前進への決断に呼応して、それを応援するメンバーが〈この道の先にはもう きっと待ってんだろう〉とぁぃぁぃなら夢を成功させられるだろうと言わんばかりに信頼を込めて歌う。
それでも失敗するかもしれない。だけれども〈何回だって転んでもいいんです〉〈難解だって挑み続ければ良いんです〉や〈悩んで悔やんで藻掻いてもいいんです〉とぁぃぁぃを信じているからこそ歌える力強いメッセージを感じる。
2番のBメロでは〈涙枯れ果てないよう ずっと笑っていたいよ〉と寂しさを露見させるが、〈バイバイなんて言いたくないね またねと手を振りニコッとね〉と「辞めても会えるじゃん!だったら応援して送り出そうよ!」のようなメンバーの明るい声が聞こえてくるようだ。
〈いつまでだって夢を見て良いんです〉この1文がメンバーからぁぃぁぃへの思いを込めた信頼が合ってこその応援メッセージだと感じる。
またCメロにメンバーのこれまでの思い出を振り返ったような詩がある。
大事にしてたいな
— moririn (@Yuck_5) 2017年11月4日
忘れずにいたいな
これからもずっと
どこに居ようと
なにをしようと
のフレーズを
メジャーデビューからエビ中にずっと居るメンバーが繋いでいって最後ぁぃぁぃにパートが渡るの、いつ聴いても泣いてしまう。 pic.twitter.com/cSxAb3jCp8
2010年からずっとずっと ぁぃぁぃと一緒に活動してきた4人がパートを繋いで、最後にぁぃぁぃが力強く歌うところを聴いたら、メンバーしか知らないような想い出も いっぱいいっぱいあるんだろうなぁって想像して もう…(T_T)
— 524 (@Koni_11b) 2017年11月6日
お二人が述べてくれたので、余計な事は言いません。その通りだと思います。是非メッセージ性と誰が歌っているのかと言うところに意識して聴いてみて下さい。
嫉妬心のようなものもあったり、Mrs. GREEN APPLEを正直あまり好んではいなかったので、大森元貴に良い印象は無かったが、コレばかりは「エビ中をたくさん研究してくれたんだなぁ」と上から目線で感謝している。
GYAN GYAN GYANと鳴ることが大事です
次に受けた衝撃はその音楽性である。
このMVを観るまで、「シンガロン・シンガソン」はラジオで聴いた1番のみの音源であった。
しかし、このMVを聴いて本来の良さが何であるのかを理解した。
まず、先程述べたMrs. GREEN APPLEの魅力が詰まっており、1番のAメロは歌唱者が星名美怜と安本彩花の2人が8小節ずつソロで歌っていて、メロディは、ミュートを盛り込んだギターストロークが印象的である。
対して2番のAメロは歌唱者が代わり、安本彩花と小林歌穂が同じように8小節ずつソロで歌っている。それだけでもMrs. GREEN APPLEの良さとエビ中の良さがミックスされ、色鮮やかなメロディが奏でられている。
しかし、Mrs. GREEN APPLE×エビ中の真髄はソレだけでなく、1番Aメロではあったミュート音を無くし、手数が少なくなったギターストロークで安本彩花パートの歌を強調するようなメロディになっている。
そして、小林歌穂パートになるとミュートを含んだギターストロークが復活するが、16分のピアノが壮大なサビへの向かう気持ちを高揚させるように鳴らされる。
そんな2度美味しいMrs. GREEN APPLE節が炸裂しているのだ。
また先にも述べたが、◯◯TIONという連続したフレーズが本当に小気味良い。適当に並べても小気味良いリズムは作れると思うが、歌詞の意味も込められている所も魅力の1つであろう。
他にも言語化出来なかったので特徴には挙げていないが、メロディが壮大な所もMrs. GREEN APPLEらしさだと感じている。
この曲で言えば8小節毎に、8ビート→2ビートと変わるドラムのリズムが壮大さを醸し出しているのか、歌メロの音階の広がり方で現れているのか正確には分からない。
しかし、そういった壮大さがサビには詰まっていたり、コーラスのオノマトペが入った〈GYAN GYAN GYAN泣いても良いんです〉という歌詞も相まって、1度聴いただけでも耳から離れなくなるほどキャッチーにGYAN GYAN GYANと鳴り続ける。
更に大サビでは超ハイトーンで〈GYAN GYAN GYAN泣くことも大事です〉と歌われている。コレが本当に圧巻で…。
またこの〈GYAN GYAN GYANと泣いても良いんです〉と言うフレーズは、ぁぃぁぃが涙を封印してきたからこそ響くフレーズなんだなぁ。と痛感させれたブログがあったので是非御一読願いたい。
鮮やかなMVの真意
自分にはアーティスティックな部分が無いので、全然気付かなかったのだが、
シンガロンのメイクの違い 6人はリップ 口で表現する人(歌手) ぁぃぁぃは赤シャドーで 見る物を表現する人 (アーティスト?)みたいなこれからのみんなを表す感じなのかな〜とかなんとか思っちゃって そんな深い意味ないのかもだけどハハ
— じあむ (@m4eb6) 2017年11月3日
このような考え方もあるようだ。本人は謙遜なさっているが、これを見た時に自分はなるほどー。と唸らされたものだ。
他にも〈何回だって転んでもいいんです〉と歌うだけあってMVではソロで映っている所は下にローションが敷いてあり、ツルツルと滑って転びそうなメンバーが印象的である。
そんなMV最後のシーンも何度も撮り直したらしいが、使われたテイクは星名美怜がよろけたそんなテイクであった。
シンガロン・シンガソンのラストで美怜ちゃんがよろけるの注目されてるけど、監督にしてみたらしてやったりだろうね。
— ハル@スタダLOVE (@sutadaharu) 2017年11月3日
MV頭を無音でコケるシーンで引き付けて、最後に美怜ちゃんがよろけたシーンを使う事でプラスαのインパクトを残す事が出来たからね。
星名美怜は「何回も録ったのにあれ使われるの恥ずかしいー!」と述べていたが、ソレを考えるとそのテイクを使った意図も頷かされる。
また自分がMVとライヴを観て一番感動的だったのが、大サビで1番高いキーで歌われるこのパートだ。
「シンガロン・シンガソン」メロディも遊びまくってて、味の無くならないガムみたいな好さがあるんですけど、それ以上にぁぃぁぃを掴んでみんなでヘドバンするシーンが、MVだけじゃなくて、振りにも盛り込まれてたのが本当に好い。大好き。 pic.twitter.com/DOqUBDEiQs
— 安本彩花さんをた~んと愛でる垢🍅 (@EBC_TANTO) 2017年11月3日
この曲は失敗しても諦めない人を応援するような曲だが、自分はぁぃぁぃがいる間はぁぃぁぃへの応援歌と捉えたい。
だから、MVだけの演出だけだと勘違いしていたこのぁぃぁぃを囲んでヘドバンをするシーンに、メンバー全員のぁぃぁぃへの愛が感じられて大好きなのだ。
「シンガロン・シンガソン」は鳴り止まないっ
最初聴いた時は本当に「なんだただのMrs. GREEN APPLEじゃん…ぁぃぁぃ最後なのに何やってんだ…」と感じていた。
しかしその考えは間違いで、MVの視覚的なインパクト、ぁぃぁぃへ向けての想い。そういったのもが詰まっていた。
それにMrs. GREEN APPLE基、大森元貴が苦手だと思っていたけれど、エビ中への研究、楽曲のセンス全てをとっても完璧で、努力家で天才なんだろうと痛感させられた。
大森元貴さん、ヘイトスピーチのようなものをしてごめんなさい!ほら、ここで褒めるためのチェンジアップ的な緩急を付けた感謝で、今では「シンガロン・シンガソン」が本当に大好きです…!
さて、誰かに怒られる前に「シンガロン・シンガソン」をまた聴こうかな。
というか聴く前から頭の中でGYAN GYAN GYANと「シンガロン・シンガソン」が鳴り止まねぇ!!!あぁ、やっぱりMrs. GREEN APPLEが嫌いだ!