Death To False Tanto

雑食な自称音楽好きが自己満でアルバムレビューなどをしていきます。ブログタイトルはWeezerから

私立恵比寿中学「曇天」は晴天になれるのか?

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3月13日にリリースされる私立恵比寿中学の5枚目のフル・アルバム『MUSiC』に収録される「曇天」が1月30日に先行配信された。エビ中では初のシューゲイザー調のメロディに少女の葛藤を描いた歌詞を乗せ、儚さを増幅させた1曲。

今回はそんな「曇天」の主人公の関係性などを掘り下げていこうと思う。

 歌詞は以下の通りだ。*1

 憧れの先輩との生活

大まかにいうと、年代は女子校出身*2の大学生くらいで、憧れの先輩に告白してOKを貰ったけれど、彼氏は彼女ほど彼女のことが好きではなく、熱量に差のあるそんな関係性で、彼女側の葛藤が伺える歌詞だ。

曇天の関係

 〈夕闇の中ソファで抱き合う〉
Aメロの頭のこの一文を聴くと、大人な関係なのかも?と感じるが、そのあとの歌詞の様子が如何せん思わしくない。

〈夢が醒めて背中に触ると今日の空のような底の見えない曇りがかった瞳をしていたの〉
彼女が目覚めて彼氏の顔を見るも、どこか朧げな表情をしているのが伺える。

〈私を映さないあなたをずっと見ないようにしていたのにな〉
と、彼女自身もそのことに気付いているが、この関係を壊したくないがために、気付かないフリ、見ないようにしていたのではないだろうか?

2番のAメロでも似たような光景が見受けられる。
〈骨ばった膝に寝転んでみていた あなたの好きな純粋で退屈な映画も 全部わかってあげられる気がしてた この世で一番優しい場所だったのにな〉
付き合いたての頃は彼氏の趣味も全部わかっていたつもりでいた。だけど何かがあり、不信感を覚えるようになり、この世で一番優しい場所では無くなってしまった。

その原因がこれだ。

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MV制作者と作詞者が同じ人ではないため、これはただの憶測だが、出会い系アプリのようなもので彼氏らしき人を見つけてしまった。

そのために、今までの不安な憶測が、ほぼ確信に変わってしまったと考えられ、この歌詞のような曇りがかった情景が反映されているのだと考えられる。というかなんでこの彼女もこのアプリ使ってんだよ。 きっと感づいたから試しに覗いてみたらHITしてしまったんだろう。うんうん。

あの人を信じたいけど。

また、今までの流れを汲んで読み解いていくと、どうも一目惚れや憧れだった先輩と付き合えた女子大学生の数か月後を切り取った歌詞のように感じる。

〈初めて渡した私を青春に閉じ込めないで〉
ここが特に確信的だ。初めて渡した私とあるが、高校は女子校に行っていたがために恋を知らずに初めて恋をして付き合えたが、相手は青春の一ページとしか考えておらず、お互いの意識のズレに怒りをも籠った想いを吐き出したように思える。

感情的なギターが鳴り、Cメロで
〈ポケットに入れたままの言葉を広げてみたけどすぐに偽物と気付いて駅のゴミ箱に捨てた〉
と今までかけられていたであろう彼氏の甘い言葉などに偽りを感じたのか、彼氏の家からの帰り道の駅で捨てた。というところからも感情的な怒りの表現が成されている。

ケ・セラ・セラなるようになるわ。

客観的に見ればそんな彼氏さっさと別れちゃえよ。と感じるが、彼女本人はサビで何度も
ケセラセラのおまじない〉
と唱えている。
〈あの人を信じたいけどあなたは私を映さない〉
今は彼氏からは曇りがかってしか見えていないのかもしれないが、いつかなるようになる。あちらも好きになってくれるという期待をしているのだろう。

〈曇天の向こうには ねぇケセラセララ〉
晴天になるまで彼氏を信じてみたい。ねぇ、なるようになるよね。

曇天が晴天になるその日まで…。

一見暗く大人な曲に見えるが、意外とエビ中メンバーと同年代くらいの女の子の悩みのお話なのかもしれない。
しかし、すべてが悲観的なわけではなく「なるようになる。」と希望を抱き、いつか曇天が晴れ、晴天になるのを待っている儚い少女の物語なのだ。

*1:みくず (@OI39IO) | Twitter

*2:もしくは特に好きな人が居なかった共学の高校の場合も