呑み込まれるな! RIDE『This Is Not a Safe Place』
RIDEの新譜『This Is Not a Safe Place』がとにかく素晴らしい。RIDEは1988年にイギリスで結成されて1996年に解散したが、2014年、18年振りに再結成したバンドだ。そしてこの『This Is Not a Safe Place』は6枚目となるフル・アルバムである。
正直な話。
自分はRIDEというバンドのことは詳しくはない。再結成した後のアルバム、EPを少し聴いたことがある程度だ。その時は「シューゲイザーで有名なバンドなのかー。」程度にしか思っていなかった。しかし、今作を一聴して「名盤だ。」と確信した。
まず1曲目に「R.I.D.E.」と自身のバンド名を冠した楽曲から始まる。シンセとハイハットの音から始まり〈RIDE! 〉という掛け声でドラムやベース、そしてジャズマスターのトレモロ・アームを用いたシューゲイザーらしい音のギターが参加する。この曲はライヴの登場SEとして今後使われていくこと間違いないだろう。
その後、先行シングルとして一足先にリリースされていた「Future Love」が流れる。The FallやSonic Youthのポスト・パンク・サウンドから影響を受けたためなのか、晴れやかであるが、どこか哀愁を感じさせるサウンドがダイナミックに展開される。自身のバンド名を用いた1曲目からの期待感から2曲目「Future Love」への流れで、私は一気に心を奪われた。
4曲目「Kill Switch」では歪んだギターが鳴らされ、まさにシューゲイザーを感じるような曲や、6曲目「Eternal Recurrence(永劫回帰)」では間奏を除いて、優しく少し切ないメロディ2つがループしており、タイトルの通り永遠とこの切なさが続くようなそんな気分にさせられる曲も存在する。
このアルバムは危険だ。
元来のシューゲイザー・サウンドだけでなく、様々な影響を受け、多種多様なタイプの楽曲が見受けられる今作。自分は1曲目「R.I.D.E.」から2曲目「Future Love」の流れで、まんまとこのアルバムの沼へと引き込まれた。
あなたは”この安全ではない場所”に呑み込まれずにいられるだろうか?