Death To False Tanto

雑食な自称音楽好きが自己満でアルバムレビューなどをしていきます。ブログタイトルはWEEZERから

Continuation Of The Dream

人里離れた魔法の村

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ここは森に囲まれし閉ざされた村里。そして私はここで生まれ育った15歳、いわゆる大人というやつだ。

閉ざされた村里と言っても不自由を感じたことはない。病気や怪我をしても魔法使いが治してくれるし、食糧なんかは錬金術師が用意してくれる。

私は出ようと思ったことがないので実際に目にしたことはないが、村人が森から抜けようにも森の外はすごい嵐でとてもじゃないが抜けれないとの噂だ。

そんな村で15年生きてきた私だが、昨日生まれて初めて旅人が訪ねてきた。旅人は疲れ果てた様子で、私の目の前で倒れてしまったので看病をしているのが今の状況だ。

初めての旅人

「…ん、ここは…?」
旅人が起き上がり呟く。

「目が覚めましたか、ここは燦村ですよ。」
物珍しさも相俟って、付きっきりで一晩中看病し、寝不足気味な私が答える。

「…そうですか。ここが…」
私を舐めるように上から下まで見ると苦虫を噛んだような顔をした村人が呟く。

「ええ。しかし旅人とは珍しい。どうしてここへ?」
ニコリと魔法使いが聞く。

「…あぁ遭難してしまって、、、」
と疲弊した表情の旅人。

「とにかくまずはここで身体を休めて下さい。身体が治ったらあなたの住むところまで案内いたしますよ。」
またニコリとしながら魔法使いが言う。

「…助かります。」
と呟くとまた旅人は寝てしまった。

「安否も確認出来たし、君もゆっくり休むといい。」
と私に魔法使いが問いかける。

私は言われるがままに自宅に帰り、床に就いた。

突然の訪問者

眠りに就き、夜も更けた頃に私の部屋の外から音がし、目が醒めた。

何事かと外に駆け出すとあの旅人が私を起こそうと物音を立てていたようだ。

「こんな夜更けにどうしたのですか?身体は大丈夫ですか?」
と寝ぼけ眼で私は問う。

「大丈夫だ。そんなことより逃げるぞ君。ここは危険だ。」
と緊迫した様子の旅人。

「何故です?私は15年この村で生きてきましたが、何も危険なことはありませんでしたよ?」
興奮気味の旅人を落ち着いた様子で窘める。

「簡潔に言うと君達村人は実験体だ。この村は人体実験をされているんだ。」
ジッケンタイ?ジンタイジッケン?聞き慣れない言葉、勢いに気圧される。

「とにかくこの村から出るんだ。君1人が出れば計画が明るみになり、この現状を打破出来る。」
何を言っているのかあまり理解出来なかったがこの人物が私を外に出そうとしているのは理解出来た。

「そ、そもそも私はこの村から出れないんですよ!村の外は嵐が起きてて出れないんです!」
と少し焦りながらも冷静に旅人に問いかける。

「その問題は解決済み…いや問題無い。君は何も心配せずに私に着いて来てくれれば良い。」
と自信満々な旅人。

この村から出たいと思ったことはなかったが、嵐の外が見れるのなら見てみたいという好奇心で旅人に着いて行くことに決めた。

「決心はついたか?行くぞ。こっちだ。」
と私の手を取り、森の中へと向かっていく。

そして嵐の箇所へと辿り着いた。

止めどない嵐

「ほら!やっぱり嵐が…!」
と少し残念そうに私が言う。

「大丈夫だ。こっちにエレベーターがある。下へ向かえば車は通ってない。」
エレベーター?クルマ?と?が浮かんでる私を詳しいことは後で!と言い、箱の中へと入り、私を誘う。

箱の中に入ると旅人は壁をポチポチと押すと、身体が引っ張られる感覚に陥った。

不思議な感覚が落ち着いて来たと思ったら箱がまた開き、先程とは違う景色が広がっていた。

「旅人さんは魔法使いだったのですか?」
私たち村人とも魔法使いとも、錬金術師とも違う少し変な格好をしていると思っていたが、別種族の魔法使いなのかと私は問う。

「いや、私は魔法使いではない。君も使い方さえ知れば他にも沢山使えるようになるよ。」
と柔らかい物腰で私に語りかける。

私はこれから起きることに期待しつつ、旅人にまた着いて行った。

後日談というか、今回のオチ。

数年が経ち、私は18歳になった。数年前の15歳の時点で大人だと思っていたが、こちらの世界では18歳の今からが大人だ。

今になって分かったことだが、私達村人は金持ち連中のいざという時の代えの身体、所謂クローン体で、身体が成熟した15歳から大人として扱われていた。

この燦村は3番目の村で、倫理観に反する外界から閉ざされた禁忌的で実験的な村里だった。

魔法使いは最新の医療器具などを使って私たちの健康を管理する医者で、錬金術師は食料を運び料理をし、食事管理をする料理人だった。

私達村人は怪我をしても魔法使い、基、医者に薬などの最新医療で怪我を治して貰い、魔法で治して貰っていたと思い込まされていたようだ。

嵐というのは、森の周りに高速道路があり、何も知らない村人はエレベーターに気付かず、嵐だと思い込み、この村から出れないという話が出回っていたようだ。

私が出たことで、村里の存在が明るみになり、村里の解体、運営や金持ち連中が裁きを受けている最中だ。

元は金持ちのクローン体とはいえ、私は私個人として正式に人権を貰い、こちらの世界に馴染んでいった。

今の便利な世界に馴染んでしまうと村での生活にはもう戻れないなと思う気持ちと反面、安全で何もしがらみのない自由な生活だったあの頃に想いを馳せるのであった。